暗渠について

暗渠排水
 暗渠とは蓋をした水路のことで、潅漑や排水に用いられる。排水の場合の基本的な構造は、地面に若干の勾配をつけて掘られた溝の底に有孔管、透水管等が置かれ、その上に砕石や玉砂利を盛られたものである。透水シートや黒曜石パーライトを併用することで、できるだけ目詰まりの原因を排除するような構造を掲載している書物もある。

 埋設されるパイプにもいろいろな種類がある。存在を確認できたものだけでも、塩ビパイプに適当な穴が明けられたもの、コルゲート管の小径部にたくさんのスリットを切ってあるもの、ネット状の筒に螺旋状の補強を施したもの、ヘチマ構造をしたものがある。どれを選ぶかは求める効果、工事の規模、価格、入手しやすさ、施工のしやすさ等を総合的に見て判断することになる。

 暗渠排水の工事例を見ると、ほぼ間違いなく有孔管等を使っているけれど、個人宅の庭程度の規模では、いくら大雨が降ったとしてもパイプの中を水がとうとうと流れるとは思えないから、極端な話、溝を砕石や砂利だけで満たしても十分効果があると思う。ただ、目詰まりに対しては不安があるので、実際には透水シート(厚めの不織布)で砂利をくるむなどの対策は必要だろう。また、パイプの接合にはそれぞれのパイプメーカーが専用のジョイントを用意しているので、これらを使えば見栄えはいいし(埋めてしまえばわからないが)、工事をやったって気持ちになるが、上述の考え方に立つとそんなジョイントは不要で、砂利を多めに入れて透水シートをかぶせておけばいい。まあ、個人の庭に導入する暗渠排水だから、施主の胸板三寸に任せればいいところだけれど。

 暗渠排水路を作るにあたっての問題は、最終的な出口の深さである。溝の勾配を1/100でやっていくと、我が家の庭の場合、終点と始点の最終的な高低差プラス始点の地表からの深さは40cmほどになるが、これはすでに雨水排水枡の水位より低いため重力による自然排水が不可能で、排水ポンプなどを使った強制排水が必要となる。暗渠排水する場合は、排出先がどこかになるかで大きな違いが出てくる。